“こころ”について

ホームページのリニューアルに伴い、心理相談室ではスタッフによるコラムを開始することにしました。
少しでも皆様のお役に立てるものをお届けできたらと思います。
初回のコラムは、こころについて書きたいと思います。

私たちを取り巻く社会はめまぐるしいスピードで進んでいます。
テクノロジーが急速に発展し、通信手段は手紙から電話、メール、LINEやSNSと進化しており、
今すぐ誰かと繋がることができるようになりました。
その即時性がもたらす利便性は、今や私たちの生活になくてはならないものとなっています。

その反面、私たちはなかなか反応がないことを不安に思い、今すぐ応答しなければならない衝迫に駆られます。
私たちはいつしかゆとりを持てなくなり、欲求不満に耐えることが難しくなっています。
手紙のように、何度も修正しながら想いをしたため、相手にどのように届くか想いを巡らせ、
相手からの返事を楽しみに待つような“こころ”を使った営みは、私たちの生活から徐々に姿を消しています。
“こころ”は省略される時代になったと言えるかもしれません。

現代の私たちが自分自身のなかに“こころ”を見出すとき、私たちにあまり良くないことが生じているのかもしれません。
気分が落ち込み塞ぎ込んでいる、仕事や学校に行きたくない、対人関係の悩みが頭から離れない・・・。
“こころ”の存在は、“こころ”がすり減ったとき、“こころ”がダメージを受けたとき、初めて浮かび上がってくるようです。

このページをご覧になっている方は、なんらかの事情により、ご自分の“こころ”に目を向けなければならない状況なのかもしれません。
“こころ”が省略された時代に生きるからこそ、“こころ”についてじっくりと時間をかけて思索する。
カウンセリング/心理療法では、このような時間を提供し、一緒に“こころ”を巡る対話ができればと思っています。

                                         臨床心理士 諏訪

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